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, 2010/02/07 (日) 19:43:16更新
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アルカンの長調練習曲の第5曲。しかし、この曲は長調ではありません、すくなくとも、ヘ長調ではありません。ヘ長調の第4音は音来は変ロでなければならないところ、生のロ音を使っています。おまけに、主要エピソードがハ長調だったりイ短調だったりで、古典的な調性感覚を逸脱しています。 速度発想記号には「アレグロ・バルバロ」野蛮な(蛮族の)アレグロ、と指定されています。現代においては、差別用語に指定されそうな用法ですが、恐らくアルカンにとっては、邪気のまるでない、異国趣味、といった気分と思われます。後に、バルトークも「アレグロ・バルバロ」を作曲しましたが、こちらのバルバロは、主体的なバルバロ、自らを異邦のものと位置づけたもので、まったく差別的意図はない(あるいは、むしろ、反差別的ともいえる)と断言できるでしょう。言葉というものも文脈の中でいかようにも意味を持ちうる一例かと。 さて、話が脱線しましたが、この作品。ともかく猛烈な勢いで進行します。雰囲気は某異国、というよりもおもいきり非ロシア人のロシア趣味という感じもいたします。 ・・・しかし、この曲集、ヘ長調は何処へいってしまったんだろう。
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