『ボボボン時計』

自分の中に入り込む夢。
何気ない場面から始まる。

母やおばさん達とちゃぶ台をかこんでお茶してて、さぁもう行かなきゃ、と縁側から出て
ふりかえり、ふりかえり、バイバイって 手をふる。
今だったら…なるべく なんでもないフリをする為に そんなに何度も振り返らないのに
何度もちゃぶ台のある部屋でくつろぐ母達に手を振る。
何故 振りかえっちゃうんだろう?って わからなかったから、
ちょっとのぞいてくるね!と 自分の中に入っていく。

 は!?自分の中に いってくるね?だって?…なんだい、そりゃ。

入っていく、というのは 1歩踏み出したら トンネルみたいになっていて
奥に部屋が見え、
どうやら それが私の心の中らしい。
ドーム型の小さな部屋の壁には SFよろしく状態で 
なんだかわけのわからないボタンやレバーがたくさんついた
コンピューターがずらりと並ぶ。

中央で 小さなまるっこいゴリラが ボールのようにはずんで 
時たま すみっこに置いてある、昔、自分の家の柱にかかっていた振り子時計が
 ボボン、ボボンっと鈍い音を立てている。

何かが引っかかって 前に進めないのは こいつのせいか。

そう思って そのちいさなゴリラに 時計を叩いちゃ だめっ! と叱ってみる。
だけど…よくよく見たら そのゴリラは ただ弾んでいるだけで、古いその振り子時計には
黒いまるっこい人形がしがみついて ボボボボンッ ボボボンッと 
必死に時計を生き返らせようとしていた。
ちいさな 赤ちゃんくらいのその黒い何かは 本当に 必死にしがみついていた。

でも、私は その時計がもうどうやっても動かないことを知っている。
いくら叩いても 過去は変えられないのと同じ。
そう、その時計は 過去 らしい。
しがみつく黒い何かを 抱っこしてから 手をとって 
一緒に はずむゴリラを黙って見ていた。

そんなあたりで 夢から 覚めた。
今の私って そんな感じ?