音楽の小径
2009/06/14 (日) 作成
スクリャービン作曲「仮面」作品63の1
スクリャービン作曲「仮面」作品63の1
00:56,  567.0KB ,  2009/06/14 (日) 15:17:55更新
本シリーズ初登場のスクリャービンの後期作品です。
後期作品になると長調・短調の枠組みから離れ、スクリャービン独自の音組織がほぼ一貫して使われるようになります。中期までの変化和音は調性の束縛を逃れ、より多彩な和声表現を目指している側面もあると思われますが、後期作品になると(長調・短調などの調性音楽になじんだ耳には異質な響きではあるものの)特定の音列システムに拘ることにより和声の多彩さは減じており、音響的にはより単調なものになっているようです。ただし、使える音が限られていることと表現の幅の広さには直接的な関係はないと考えられますので(現に厳格な調性音楽が表現の幅が狭いということはないでしょう)必ずしも表現の幅が狭まったということを意味するものではありません。
晩年になると神秘主義、他の流派からみたらカルト的なもの、の影響が大だとよくいわれます。作曲の背景にそれがあったことは否定しませんが、作品のとらえ方としてしては、あまり神秘主義、神智思想に拘らない行き方もあるのではないかと思います。