音楽の小径
2009/08/02 (日) 作成
ドビュッシー作曲「雪の上の足跡」
ドビュッシー作曲「雪の上の足跡」
03:41,  679.1KB ,  2009/08/02 (日) 22:46:03更新
「アナカプリの丘」がまばゆいばかりの陽光といったイメージなら
こちらは、極北の・・・とはちと違うけれど、切々とした冷たさといったところでしょうか。
非常に音数も限られており、大変ゆっくりとした流れの中で表現されるものは
しかし非常に奥の深いものです。
愉悦からは遠いのですが、この曲の表現には、どうしても非常に繊細かつ豊かな弱音表現が欠かせません。音をなぞるだけであればそれほど難しくはないこの作品ですが、きっちりとコントロールした演奏を志すと、実は非常な難曲だといえます。断じて無機的な雪景色を描いただけの作品ではありません。その背後に広がる、侘び寂びの世界、あるいは諦観のさらに向こうにある何かを描ききることができれば完璧なのですが、それが実に難しい。